梓五十三号 同人作品
秋風を吸ひ巡礼のはじめとす    増子香音
夕蜩すぼめる花と咲く花と     水野晶子
夫と子留守の夜一人の麦酒かな   山成洋子
見送りは角曲がるまで涼新た    阿部郁恵
手のひらの厚き二代目新豆腐    石﨑 薫
故郷を電話の先に螢の夜      泉 直樹
ランタンのガス消えてより虫の闇  上澤篤司
流星や昼言へぬこと今告げむ    上野一孝
すつぴんの少女の眼涼新た     小山正見
白木槿暮れて一日の旅終る     小玉粋花
泰山木の莟玉なす夜明けかな    菅 美緒
薄めても海へ流せぬ愁思かな    知念哲庵
館内の涼しさ纏ふ埴輪の目     津田 海
母になき老いの月日や濃紫陽花   出口紀子
物憂げな顔して地鶏秋時雨     萩原康吉
伝へたき事ありさうな黒揚羽    畠中華晶
山も木も人も洗ひし野分かな    福田 望
生まれるよ君の笑顔と夏雲と    福本啓介 
   
   「梓」五十二号 同人作品

蠢くよ五月病なる生き物が      福本啓介
夏めくや炊事の水の手になじみ    増子香音
からつぽの鳥籠揺るる青葉寒     水野晶子
新入生案内する子ら背筋伸び     山成洋子
手も口も出さぬと決めて山笑ふ    阿部郁恵
辣韭漬く与那国島の塩をもて     石﨑 薫
商売や桜の頃を旅に出て       泉 直樹
誤差あるまじ尺取虫の尺取るに    上野一孝
亀の声聞きたし吉野の花見たし    小山正見
五月闇我にひかがみ盆の窪      小玉粋花    
海風や角の屋敷の五月鯉       菅 美緒
五月蠅なす神いまだ居座りて     知念哲庵
堤防に仰向けで見る皐月空      津田 海
朝涼やトングの光るサラダーバー   出口紀子
田舎町にすずらん通り鳥の恋     萩原康吉
あの夏の綿あめのごと吾の事件    畠中華晶
平曲の琵琶ゆうるりと夏の月     福田 望
 
   
   「梓」五十一号 同人作品

はるちゃんよりあたしに変はり雛祭り 福田 望
かたはらに亡き母の来て蕨採り    福本啓介
煮炊きせる湯気浴びてをり二月尽   増子香音
あの橋の向う友病む冬霞       水野晶子
冬日和義父の棺にひよこ菓子     山成洋子
春の闇マリオネットの糸切れて    阿部郁恵
亀鳴くや撮られてゐたる心電図    石﨑 薫
舞ふ雪に轆轤を回し続けをり     泉 直樹
家々の奥に十字架つばくらめ     上野一孝
春愁を閉ぢ込めておく地下倉庫    小山正見
雨だれのドラムきさらぎ送るごと   小玉粋花    
朝湯して母似の乳房うららけし    菅 美緒
春風やキッチンカーの薄煙      知念哲庵
踏切の赤の点滅雪催         津田 海
健脚といはれしことも花辛夷     出口紀子
蟻弾く思ひ出すことありながら    萩原康吉
白丁子月なき闇を深めをり      畠中華晶
 
   
   「梓」五十号 同人作品

声の似てふと振り向きて冬日差し   畠中華晶
賞状の名にふりがなや小六月     福田 望
数へ日の一日雲を見て過ごす     福本啓介
悴みてあとに続かぬ言葉かな     増子香音
墓にして門扉門柱そぞろ寒      水野晶子
七五三紅引き鏡見つめをり      山成洋子
大綿や島の歴史に切支丹       阿部郁恵
檸檬切るジョン・レノンの丸眼鏡   石﨑 薫
降りしきる溜息の数雪にして     泉 直樹
親不孝の「孝」が我が名よ冬紅葉   上野一孝
思い切り紅葉の中に迷ひ込む     小山正見
冬満月地球の影の土の色       小玉粋花
?田の規則正しくひび割れて     菅 美緒
鵙高音房州総て山低し        知念哲庵
秋冷や目力強き毘沙門天       津田 海
八十歳はこんなものかと着ぶくれて  出口紀子
母の寝て妻寝てひとり年の風呂    萩原康吉
 
   
   「梓」四十九号 同人作品

親芋よりはづす子芋のこゑ六つ    萩原康吉
守られて生かされしもの星月夜    畠中華晶
世の中の半分は敵ちちろ鳴く     福田 望
蜩のこゑをさかなにひとり酒     福本啓介
潔くはじけてしづか爪紅       増子香音
青芒そこはかとなき人の恩      水野晶子
登校班集合場所に打水す       山成洋子
翡翠のざんぞう少年期のひかり    阿部郁恵
羽化に似て今みどりごの昼寝覚    石﨑 薫
味噌汁に汗して朝や窯出す日     泉 直樹
稲穂田に抜き出て黍の二三本     上野一孝
父の日の父の煙草の匂ひかな     小山正見
萩の花薬草園の風集む        小玉粋花
群れ咲ける崖の山百合どつと風    菅 美緒
傾ける八端十字夜の秋        知念哲庵
面影の浮かびては消ゆ螢の夜     津田 海
萩散るやきのふ散りたる上へまた   出口紀子
 
   
   「梓」四十九号 同人作品

親芋よりはづす子芋のこゑ六つ    萩原康吉
守られて生かされしもの星月夜    畠中華晶
世の中の半分は敵ちちろ鳴く     福田 望
蜩のこゑをさかなにひとり酒     福本啓介
潔くはじけてしづか爪紅       増子香音
青芒そこはかとなき人の恩      水野晶子
登校班集合場所に打水す       山成洋子
翡翠のざんぞう少年期のひかり    阿部郁恵
羽化に似て今みどりごの昼寝覚    石﨑 薫
味噌汁に汗して朝や窯出す日     泉 直樹
稲穂田に抜き出て黍の二三本     上野一孝
父の日の父の煙草の匂ひかな     小山正見
萩の花薬草園の風集む        小玉粋花
群れ咲ける崖の山百合どつと風    菅 美緒
傾ける八端十字夜の秋        知念哲庵
面影の浮かびては消ゆ螢の夜     津田 海
萩散るやきのふ散りたる上へまた   出口紀子
 
      
     「梓」四十八号 同人作品

上野より地下へ小春の銀座線      萩原康吉
梔子や朽ちて金色香を濃くす      畠中華晶
子の口より妻の口癖麦の秋       福田 望
沖波に胸高鳴りし立夏かな       福本啓介
苗売りの野菜談義を聞く子ども     増子香音
鋼打つ音が船より夏つばめ       水野晶子
小遣ひを出し合ひ鉢のカーネーション  山成洋子
問題はお玉杓子の尾の行方       阿部郁恵
花の雨仏はいつも素足なり       石﨑 薫
土筆煮る戦火のニュース聞きながら   泉 直樹
職退いてよりや早起き百千鳥      上野一孝
幸せはパンあることとチューリップ   大貫 環
傷の無き入学式のランドセル      小山正見
花種蒔く戦禍の地へと続く空      小玉粋花
玉子かけご飯の後の新茶かな      菅 美緒
廃線の決まりし駅舎燕来る       知念哲庵
昼寝子や宇宙図鑑を開けしまま     出口紀子
 
      
     「梓」四十七号 同人作品

大空へ身を放ちたる出初めかな     出口紀子
無花果食うて家出でもしてみむか    萩原康吉
吾と君とここに居るだけ春日かな    畠中華晶
立春の泡やはらかきハイボール     福田 望
燗酒にひとりの時間過ぎゆけり     福本啓介
かき揚げの白魚の尾ぞみな跳ぬる    堀本裕樹
鵲の巣や隣人を愛せよと        増子香音
春昼や船体黒き警備艇         水野晶子
ハミングで唄ふコロナの雛祭り     山成洋子
ポケットにポケット図鑑草青む     阿部郁恵
相愛の雛の距離をちぢめやる      石﨑 薫
外套やポケットの闇持ち歩く      泉 直樹
登校す熊除けの鈴鳴らしつつ      上野一孝
手みやげに言問団子花曇        大貫 環
大丈夫。」言ひ切つてみて四月馬鹿   小山正見
ジャムあげて大根もらふ約束す     小玉粋花
鳥帰る能登の岬の狼煙台        菅 美緒
凍返る自宅療養てふ棄民        知念哲庵
    
 
 
     「梓」四六号  同人作品

路地奥の子ども食堂冬うらら     知念哲庵
聞きながすことも大事や鵙高音    出口紀子
延長戦なしもよきもの良夜かな    萩原康吉
君と見しポインセチアを抱きをり   畠中華晶
給食の違ひの話返り花        福田 望
芒原泪溢れてしまひけり       福本啓介
スプーンに蟻ゆがみ映え去りゆけり  堀本裕樹
めでたさを横一列に飾売       増子香音
術痕も親しくなりぬ冬至風呂     水野晶子
校庭にコスモス揺れて転校す     山成洋子
玉砂利の音を引き摺る七五三     阿部郁恵
茶の花やあつてはならぬ戦など    石﨑 薫
競り声や越前蟹のめでたさに     泉 直樹
大花野夢のうちにも杖つかひ     上野一孝
虎落笛しばし交はる死者生者     大貫 環
味噌蔵の醪の歌や夜長き       小川 求
寒いねと話す人なき夜寒かな     小山正見
改修の新藁光る潜り門        小玉粋花
冬眠の蛇に朝夕鐘の音        菅 美緒
 
      
     「梓」四十五号  同人作品

ドアの鍵閉めて入道雲に乗る     菅 美緒
八月や骨になるまで反抗期      知念哲庵
笑はせて法話終りぬ植田風      出口紀子
他言せず烏瓜咲き初めしこと     戸澤光莉
我に打たれず妻に打たれて蠅逝けり  萩原康吉
月の夜はさまざまな人過ぎゆけり   畠中華晶
どんぐりとダース・ベイダー立つ出窓 福田 望
夜這星昔東国武士の国        福本啓介
草の面をじわじわのぼりゆくばつた  堀本裕樹
待宵や新居に家具の少なくて     増子香音
「鍵善」に出会ふ尼僧の薄衣     水野晶子
子の作る白玉犬や猫や鳥       山成洋子
水のいろ野のいろ風の銀やんま    阿部郁恵
封じ手や銀河大きく傾きて      石﨑 薫
気掛かりも鞄に詰めて帰省かな    泉 直樹
井水あり十四夜月を宿すのみ     上野一孝
箸置いて時計見上ぐる広島忌     大貫 環
現住所裁判所内蠅虎         小川 求
幸せの真ん中に居て夏痩せる     小山正見
秋風や狐塚てふ歩道橋        小玉粋花
 
      
     「梓」四十四号  同人作品

前の世も後生お御免鵜飼の鵜     小玉粋花
船宿の飛魚の刺身の飛ぶかたち    菅 美緒
幾たびも五体投地や苜蓿       知念哲庵
春風や耳より大き耳飾り       出口紀子
腹太き馬上の春や草千里       萩原康吉
風が好き風と心中青嵐        畠中華晶
花屑を集めて散らすランドセル    福田 望
おもちや箱いつしよに春も入れておく 福本啓介
夏館もう来てゐるかいやまだか    堀本裕樹
ハンモック天でも地でもないところ  増子香音
年々に母のもの着る更衣       水野晶子
ハンモック姉妹で揺られ昼寝かな   山成洋子
入口はひとつ獄の額の花       山本純人
砂浜の色をしてゐる蝸牛       阿部郁恵
隠れ棲む心地もよろし更衣      石﨑 薫
蛍火や姉妹のやうに妻娘       泉 直樹
立ち止まることの大切椎の花     上野一孝
制服の身丈足らずや更衣       大貫 環
ふくろふの春満月を囃すかな     小川 求
春愁をふりかけにして飯二杯     小山正見
 
 
     「梓」四十三号同人作品

刈り上げて昔の俺に戻る春      小山正見
兄の遺しし万華鏡の冬景色      小玉粋花
桜貝集め彼の世へ土産とす      菅 美緒
凍返る家族葬さへ許されず      知念哲庵
恵方道覚えあるこゑ後ろより     出口紀子
はじめから落ちていたやうな椿だ   戸澤光莉
決断の遅速を笑ひ雪女郎       萩原康吉
さまざまの喪の家過ぐる春疾風    畠中華晶
紅梅やするりと吾子のさかあがり   福田 望
覚めぎわのゆめ初夢と知つてをり   福本啓介
亡き人と月光を踏む遊びかな     堀本裕樹
足首と手首まはして春兆す      増子香音
板前の長き金箸さより盛る      水野晶子   
コロナ禍の旅行気分や絵双六     山成洋子
卒業生の手が言ひしありがたう    山本純人
薺咲くがんばらないといふことも   阿部郁恵
桜さくらあふぎて恋の二人らし    石﨑 薫
大和絵の雲湧くごとく牡丹鍋     泉 直樹
無私といふ境地に咲きぬ山桜     上野一孝
鶯餠あとは初音を待つばかり     大貫 環
輪飾にほのと稲の香草の色      小川 求
 
 
     「梓」四十二号同人作品

吊り下げて今日の平穏唐辛子     小川 求
歪みつつ愚直に回る木の実独楽    小山正見
鉄瓶の模様は霰冬に入る       小玉粋花
杖が押さへたり飛ばされし冬帽子   菅 美緒
蟷螂の来世を信じ喰はれけり     知念哲庵
新蕎麦を頼み話の外にをり      出口紀子
立冬の砂鉄に雑ざる砂の粒      戸澤光莉
廂より松に移りて鳥の恋       萩原康吉
踏台の子と大根をおろしゐる     福田 望
嫁ぐ日のけふ小春日となりにけり   福本啓介
雲龍図よりぐるぐると秋のこゑ    堀本裕樹
まばたきの音するやうな霜夜かな   増子香音
宮の灯を借りて屋台の暦売り     水野晶子
画用紙に落葉貼り付け猫の顔     山成洋子
冬桜これからのこと話しけり     山本純人
父の忌の近づけばくる雪蛍      阿部郁恵
露草やひんやり朝の体温計      石﨑 薫
寒星に徹夜の轆轤回しけり      泉 直樹
澄雄なき淡海に余呉に残る鴨     上野一孝
ななかまどこの道ゆけば父母の墓   大貫 環
 
     
      「梓」四十一号 同人作品

天井の龍図に届く稲光        大貫 環
犬にして立派な妬心夏休み      小川 求
終電を逃してよりの星月夜      小山正見
新涼や家の中にも風の道       小玉粋花
広島忌長崎忌過ぎ法師?       菅 美緒
汚染土の袋の山や地虫鳴く      知念哲庵
書き出しのインクの滲み秋暑し    出口紀子
合唱のひたと止みたる秋気かな    戸澤光莉
初蝶や花屋の娘腰細く        萩原康吉
犬の背に触れて夏痩せたしかむる   畠中華晶
戦闘機過ぐ夏蝶のゆるるかに     福田 望
母の忌や一日金魚見て過ごす     福本啓介
鉦叩すなはち手紙待つこころ     堀本裕樹
小鳥来て頬杖のやゝ軽くなり     増子香音
紫ゑのころ花野の入口かもしれぬ   水野晶子
朝顔の色水染めの栞かな       山成洋子
秋の声補聴器の色とりどりに     山本純人
先生に月をあげるといふをさな    阿部郁恵
つなぐ手を離さぬやうに星月夜    石﨑 薫
かなかなの夜明けの轆轤よく回り   泉 直樹
  「梓」創刊十周年
十七音を溢れこぼるる虫の声     上野一孝
 
     
     「梓」四十号 同人作品

鮎焼いてどれが囮をつとめしか    上野一孝
葭切や水門までの一里ほど      大貫 環
山鳥の和毛残れる斑雪        小川 求
生きるとは密になること姫女苑    小山正見
トルソーのごと切られたる枝若葉   菅 美緒
恙ありと一筆しるし花は葉に     高橋博夫
菖蒲湯にぷかりと老斑蒙古斑     知念哲庵
遠雷やカーブミラーにゆがむ町    出口紀子
じつとりとしてくる時間行々子    萩原康吉
ここだけは私のお城金魚なの     畠中華晶
胡蝶舞ふ夢の間に間に夢のごと    福本啓介
行く春をしんしんとゆくヨットあり  堀本裕樹
矢車草群れてこいさんなかんちゃん  水野晶子
毎日の読唇術や七変化        山本純人
春の空四肢ふんばつてキリンの子   石﨑 薫
紫陽花の昨日の色に夜明け来て    泉 直樹
 
     
    「梓」 三十九号同人作品

デュエットの一人二役声うらら    青柳高行
靴型の並ぶ工房日の永し       石﨑 薫
黄身固き目玉焼き派に囀れり     泉 直樹
石棺は舟のごとしや冬ぬくし     上野一孝
白足袋をたたいて干して木瓜の花   大貫 環
またもとの人の好い犬猟期果つ    小川 求
鏡餠割れ目に神の宿りたる      小山正見
合はさつてまだ濡れてゐる桜貝    菅 美緒
逝きしもの逝かせしままに龍の玉   高橋博夫
フクシマの塵無き空や鳥帰る     知念哲庵
値札なき春菜並べて婆坐る      出口紀子
夏鷹の窓に入りつつ秩父線      萩原康吉
春ショール爪さき軽き降車かな    畠中華晶
白梅やこのあとスイーツブッフェ行  服部さな
笑みこぼす若草山も抱く嬰も     福本啓介
彼の世より水汲むごとく若井かな   堀本裕樹
恋猫や石に寄進の廓の名       水野晶子
うららかな指が世界をつくりけり   山本純人
 
      
     「梓」三十八号同人作品

寒林のあなたに月や歩むのみ    堀本裕樹
葱の束提げて墓域を人通る     水野晶子
寒晴の光うけとめ能登瓦      山本純人
亡き母の介護の日々を古暦     青柳高行
月光を蝶の蛹に浴びせやる     石﨑 薫
奥義書のやうな漫画を読み初め   泉 直樹
その色をゆつくり見せて空の朱鷺  上野一孝
石洞を抜けてまぶしき?時雨    大貫 環
口辺に残る利かん気下り鮎     小川 求
銀杏一面良寛の慈愛ほど      神谷章夫
ふくろふや怒つてゐる君の顔が好き 小玉粋花
漱石忌誰も彼もがへそ曲がり    小山正見
笹鳴きや風に途切れてしまひけり  篠原広子
子犬来て我を嗅ぎゆく枯野かな   菅 美緒
共にゐてなにごともなき二日かな  高橋博夫
負試合風花舌で受け止めぬ     知念哲庵
梨剥いてあとさきになる話かな   出口紀子
病癒えし後の一杯根深汁      萩原康吉
少しだけ隠し事ある冬帽子     畠中華晶
鼻曲り襤褸のごとくに横たはる   服部さな
初夢に鵬ゐたり鼇ゐたり      福本啓介