KSネット俳句会

137回   
                                                                                平成29年8月9日   

                                           
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     えぼし
江ノ電の窓どこまでも夏の海
そこかしこ物の怪潜む熱帯夜
物売りの声を遠くに冷し瓜
どこからか砂の声する熱帯夜
ひと雨の来さうな気配草いきれ      三葉子
句を詠まず半月の日々原爆忌
補聴器へ夏うぐひすのしきりなり
短夜や闇うすめつつ風の入る
八月の言霊残し風ゆけり
夕涼や砂に残りし踵あと      うーろん
盆の月潮の香流るゝ伊豆の町
黙とうの八月の空ざわめける
ゆつたりと下町散歩いぬふぐり
気にかかる小さき不義理秋の?
かなかなの落ちてゐる朝黒き影      アトリエ
犬の啼く軒風鈴の揺るゝたび
けふ甕に藻の花みつけ涼しかり
服薬を確認し合ふ夏の朝
窓際に蝉や赤子の泣きだしぬ
ひまはりを手折りて乙女画布の前
       しかの
下京にひと雨過ぎぬ青簾
砂埃つけて海辺の旱草
彫像のやうに鷺ゐる炎天下
霍乱や鴉の声も嗄れて
馬の口ぬるりと土用近づきぬ