KSネット俳句会

138回   
                                                                                平成29年9月6日   

                                           
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     柳子
衣被うまさを包む湯気熱し
この町の記憶背負ひて燕去る
長き夜や酒の肴は友の愚痴
妻の留守手酌進まぬ夜長かな
風高し栴檀の実のたわわなる       うーろん
空ら鍋に鱗張り付く秋暑かな
秋澄むや老いの愚痴など云ふまいに
青蜜柑手には移り香そのままに
大振りのをんなの傘や秋出水
接待の赤い椅子ある萩の花      三葉子
淋しいと詠まぬと決めて九月の句
秋の風夕べに色を染めはじめ
谷川の音にはじまる秋の闇
絞り出す一句一行秋灯
秋暑し兜太句論の暑さ持つ      かつら
旅人となりて訪ふ里稲の花
谷戸に風釣舟草の出帆す
土間奥に恵比寿大国ちちろ鳴く
産土の川にほっちゃれ鮭累るい
盆の僧スマホ繰りつつ帰りけり
            しかの
早涼の念珠をつつむたなごころ
風祭食虫植物見てをりぬ
川波のことに夕べや花芒
雨音か葉擦れの音か薄もみじ
電線に川鵜びつしり夏が行く