KSネット俳句会

152回   
                                                                                平成30年11月7日
                                                                       大船NPOセンター                                           
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     三葉子
つぶやきて好きだと気づく秋日和
石蕗よ朝の匂ひを持つて来る
光いつぱい十一月が持つて来た
眠り落つそこはすすき野身のひとつ
民衆の力よ我もコスモスも      えぼし
火恋し人も恋しや独りをり
残像に紅残るななかまど
平成の今年限りや秋惜しむ
青空をキャンバスにして柿熟るゝ
灯を消して夜の広がるちちろ虫      かつら
歳々に冴ゆる心耳や秋の声
山茶花の散り敷く門は明日掃かむ
久し振り娘の部屋開けて小春空
さねさしのここ晩秋の岬鼻
小春日や吾の欠伸に猫が継ぎ      藤遊子
流れたる祭のあとの秋の虹
秋の霜父祖伝来の捨て地かな
秋簾外し風の香変はりけり
秋天を独り占めにし磯の釣り
晩秋の山に入らんと深呼吸
        しかの
ギンナン落つ亀の甲羅に錆の色
酒蔵の黒き腰板鵙日和
色褪せし母の写真や火恋し
身に入むや鴨場小覗きのぞきをり
うしろより呼ばれてゐたり石蕗の花
      自由雲
鯖街道秋の時雨を大津まで
カレーの香漂よふ街へ文化の日
角打ちのつまみは小坪産白子
子の快気祝ふや栗の飯を炊き
平成の来し方思ふ衣かつぎ       アトリエ
草分けてこのあたりかと藪柑子
枯れ枝のちぎり絵にしてすき間貼り
鵯の声いつしか富士の白くなり
受付の菊の一輪香りたつ
だうだうと存在を持つ葱一本