KSネット俳句会

144回   
                                                                                平成30年3月7日
                                             横浜俣野別邸庭園吟行会   

                                           
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     うーろん
桜咲く重き鉄扉の開く音
朽ち枝に蔦の絡まる春の雪
踏み入れば白クロッカス風に揺れ
太うどん温くもる湯気や春寒し
一輪に溜息一つ寒牡丹      かつら
落椿拾ふ髫の髪に落つ
鷹化して鳩と為り児に追はれけり
きりぎしのなぞへの梅もいま真白
飛び石の間あはひの犬ふぐり
川柳揺り止みしかば花あまた      藤遊子
若布刈舟水夫は足まで使ひをり
寂しいの対語はなにと目刺焼く
彼岸会や母に代りて妻のをり
潮の目の縞あきらかに春予兆
旧邸の小径優しき春の道      えぼし
木陰には木瓜の花あり俣野邸
玉縄と云ふ桜咲く俣野邸
いつの世も憂っは絶へず亀の鳴く
木蓮の産毛光りて俣野邸
引く波を乱して一つ桜貝
         しかの
春浅し木々はうす紅うすみどり
阿夫利嶺のあはあは山茱萸花明り
旧邸の廊下くねくね春寒し
切株の飛石かはりクロッカス
灯を消せば雛小さく息こぼす      三葉子
雨しみる桜蕾に触れてみよ
いち日を良しとして消す春灯
薄氷をかすめてゆける鳶一羽
枝揺るる桜蕾のふくらみに
百万の木の芽にロック響きたる