KSネット俳句会

176回   
                                                               
                             
令和2年12月2日   
        
                                        
 TOPへ       KSネットへ 

     うーろん
師走入り路地を急げる宅配便
今日もまた影が背押す年の暮れ
握る手のやはらかくあり冬の雲
福耳に軽くかけたる冬マスク
筆順は葱一文字のアニメーション      藤遊子
馴染みたる漁港の景や年惜しむ
裸木に名残りの一葉風に揺れ
脇役に徹するもよし八つ手咲く
鯖雲や人それぞれに生きて暮れ
喜寿祝いリモートでする初冬かな      えぼし
年惜しむぽつかり白い予定表
故郷の土付け葱の届きけり
公園のまばゆき銀杏落葉かな
頼朝の落馬の橋や枯葎
左内坂五十年目の憂国忌      かつら
ななかまど紅葉黄葉のだけかんば
木守柿見守りたもれ生家跡
機関車に手を振る子らの息白し
赤ねぎは地産地消の圷(あくつ)葱
鈍色の海を見てゐる開戦日
          しかの
遺されし者がもの焼く秋日中
馬の背に湯気立つている霜の朝
月天心余生は神の手の内に
枯蔓引く手強きものと知りながら
神無月農小屋にある鍵の束       三葉子
野を行くか山を越えるか日短
膝に置く兜太句集に冬日差し
山頂の祠を影に冬の天
鳥一羽厚き冬雲かすめゆく
割り箸を割つて師走の一日目
メール句会