KSネット俳句会

171回   
                                                               
                            
令和2年6月3日   メール句会        
                                         TOPへ       KSネットへ 

     三葉子
春の雨日差し先触れあたたかし
夏近し兜太俳論机上へと
老木に風をとどめぬ葉桜の
古新聞コロナで始まる春だった
   篠田桃紅
竹秋の「これでおしまひ」風の吹く      えぼし
右裾へ日の沈みゆく五月富士
腹の中曝し泳ぐや鯉幟
天地に命溢るる聖五月
見合ひては哀れみ合ふて羽抜鳥
若さとはさういふものか緑さす      自由雲
初鳴きを静かに聴きをり谷戸の中
藤棚を見て吾れぼおつと泪する
メルカリに古本アップ春動く
ぼうたんは我が家に越して十三年
日本国どこまで落ちる走り梅雨      うーろん
森入ればブナの新緑古枝踏む
陽光と風あたたかき母の日よ
不老不死などないさと羽抜鳥
紫陽花の奥にひつそり石ぼとけ
おもちゃ箱大人も遊ぶ子供の日
        しかの
雷鳴の海打ち付けて波しづか
弁当を開く背広や橡の花
泰山木の花や恋しき父のこゑ
ささくれし巣箱の口の明易し
観音を見し目に跳ねて雨蛙       かつら
白扇を開き重ねて水木の花
短夜や朝刊トンと受けに入る
石あまた残る城址や散る松葉
軽鳬の子の守るソーシャルディスタンス
ほととぎす鳴く全身で赤子泣く       藤遊子
国上げてステーホームや早や立夏
短夜やコロナに医師の孤独かな
柿の花一つ二つと雨に落つ
裏道を行けば思はぬ桐の花
朴の花高きに一つ散歩路