KSネット俳句会

186回   
                                                               
                             
令和3年10月6日   
        
                                        
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     えぼし
コスモスの花かき分けて風の路
長き夜や逢ひたき人の遠く居り
彼の世へのラインはなくて星月夜
川沿ひに赤赤白と曼珠沙華
移ろひの心に染むや秋の暮      うーろん
秋日和イルカに会へる水族館
荒れ庭のふゆる道筋ちちろ虫
コマ送りフイルムのごと名残の月
北陸の素朴な風土オンコの実
秋うらら読めぬ名前の親の愛       藤遊子
毬(いが)踏めば栗の実一つ弾けけり
抱き上げし小さき手が伸ぶ秋桜
転居との風の便りや秋桜
コロナ禍の九月を剥いだカレンダー
秋雲の沖を飾りて浜静か      アトリエ
ひと枝を挿してうれしやをみなへし
朝まだき爽涼として歩数ふゆ
夜明け前雨戸開くれば白き月
自粛明け友の個展へ秋うらら
病院で知人に出会ふ秋の風      雲?
午後五時のチャイムに浜は秋夕焼
新涼や梵鐘かすかまたかすか
母の手の鉈食込みし南瓜かな
遠ざかる愛車の尾灯秋の暮
澄む秋に鯉の跳ねたる音すなり
 
      しかの
いわし雲誰待つとなく道に出て
新涼の音とも爪を切つてをり
鷹渡る死ぬまで生きるといふことを
幽霊の名にして枯るる曼珠沙華
海老蔵が楽屋口より後の月      自由雲
信濃路や一茶思へば一位の実
連れ合ひの喜寿を迎へて秋深し
引揚げる彼の地に咲きし花木槿
月祀る丹波の栗の渋皮煮
古寺の大樹の下に曼珠沙華      三葉子
厨より酢の香流るゝ今日の月
生きてきた日々の繋がり星月夜
通せん坊幾重も抜けて秋の風
ゆつくりと老ゆくふたり秋深む
五七五定まりて消す秋灯      かつら
秋彼岸樹木葬めく里の墓地
老懶の身にはあれども松手入れ
吐く息に瑠璃戸の曇る後の月
新ばしり父の十八番の大漁節
目覚むればその日のうちの夜長かな