KSネット俳句会

181回   
                                                               
                             
令和3年5月5日   
        
                                        
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     自由雲
初鳴きを静かに聴きをり谷戸の中
藤棚を見て吾れぼおつと泪する
メルカリに古本アップ春動く
ぼうたんは我が家に越して十三年
日本国どこまで落ちる走り梅雨      うーろん
森入ればブナの新緑古枝踏む
陽光と風あたたかき母の日よ
不老不死などないさと羽抜鳥
紫陽花の奥にひつそり石ぼとけ
おもちゃ箱大人も遊ぶ子供の日      アトリエ
老体に陽射したつぷりみどりの日
公園のからのベンチや鯉のぼり
池之端さきへさきへと半夏生草
とりどりの新緑の色絵の具溶く
木漏れ日の揺るる窓辺や青葉風      かつら
青田面刻々かはる風の道
初燕蔵のみ残る生家跡
竹の秋お薄いただく竹の寺
自販機は温より冷に花は葉に
朝刊の題字も緑みどりの日
       
      しかの
天性のおつちよこちょいぞほととぎす
首傾ぐ壁画の聖母春惜しむ
手をかせば竹皮はらと脱ぎにけり
鈴蘭を卓に夕闇すぐそこに
息抜きに草ぬく八十八夜かな      三葉子
春の雨日差し先触れあたたかし
夏近し兜太俳論机上へと
老木に風をとどめぬ葉桜の
古新聞コロナで始まる春だった
   篠田桃紅
竹秋の「これでおしまひ」風の吹く        藤遊子
老桜の硬き幹にも若葉かな
泳がねば死ぬる鰹に我の影
鈴蘭に募る旅心や自粛の世
潮風も潮目も雲も立夏かな
雨晴れて虹の中ゆく立夏かな       えぼし
右裾へ日の沈みゆく五月富士
腹の中曝し泳ぐや鯉幟
天地に命溢るる聖五月
見合ひては哀れみ合ふて羽抜鳥
若さとはさういふものか緑さす