KSネット俳句会

184回   
                                                               
                             
令和3年8月4日   
        
                                        
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     三葉子
初秋や朝一掬の水光る
大の字の腹越へる雲晩夏光
歳時記に果実の句満つ秋灯
晴わたる海の方へと夏の雲
夜の秋古き畳に腕触れる       藤遊子
釣あげしハゼかたくなに口を閉ぢ
江戸川の高き堤防草灼ける
抗ふる敵に見立てて草を引く
二階から起ち居の音や明急ぐ
荒れ庭に赤きカンナの自己主調      雲?
人避けてひと日昏るるや釣忍
朝顔のうすき香手漉き和紙
朝真紅夕に紫紺の不二の秋
蟇蛙八十路の朝の力瘤
蛸喰うて大風呂敷の始まりぬ      アトリエ
ジャカランダ咲きし跡地にビル建ちぬ
音響の調整戻り夜の秋
一時の短き命?落ちる
見えずとも絵画にしたいセーリング
美容院がらんと夏の真昼かな      かつら
やもり殿小田原城の何代目
きざはしの一段高し大西日
野仏へ一輪分けて盆の道
灯ともせば昨夜の灯虫のまだそこに
椅子にまだ暑さの残る薄暮かな
 
       しかの
避暑の客まづ山風を褒めにけり
鯉はねる音する寺の夏座敷
灯台の白より寂し花ユッカ
きゆつきゆつと夏は紫紺の声を出す
炎天や救世一身の日蓮像      えぼし
宅地化のそこまで迫り田水沸く
短夜や父母の齢を思ひをり
マンションに湧き上がりくる蝉時雨
兄の字で届く田舎の夏野菜
幽明を分かちて蝉の骸かな      うーろん
鍵穴のないリモコンロック夜の秋
走馬灯母大好きの兄弟
ドローンで地球を描く猛暑の日
風景に溶け込む住まひ田水沸く
夏の朝白衣をカゴに地下一階