KSネット俳句会

200回　　　
                                                              　                             　　　　　　　令和4年12月7日  　　　　　　　　　　　　　　　 
　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　藤遊子 どこまでも漁船を追ひて冬鴎 冬鴎漁港の朝を囃しけり うねりつつ椋鳥は一樹に吸ひ込まれ 海と空ともに染めたる冬入日 丹沢路歩きて土産栗一つ 　　　　　えぼし 海までは歩いて二キロ冬鴎 霜日和おやひまはりが散歩道 病癒えし友との電話冬紅葉 再びのネオンの灯る枯柳 冬鴎主の顔して引地川 　　　　　アトリエ 亡き友の賀状の整理夜も更ける シクラメン大鉢抱へ家路ゆく 夜明け前父の声きく師走かな 誕生日嬉しくもなし枯柳 蕎麦ちょこに珈琲淹れて冬の夜 　　　　　かつら 小春日や子供病棟窓全開 本堂へ水琴窟の音の冴え 落葉掃き交はす挨拶両隣 御講凪寄る波静か和賀江島 長老といつしか呼ばれ年忘れ
       
　　　　　しかの 柏槙は炎のかたち冬晴るる 焼芋食ふしばらく何も考へず 冬柳咥へ煙草の男立つ 露坐佛の瞑想とかず山紅葉 灘に落つ大きな夕日お講凪 　　　　　三葉子 吾に見られ群へと戻る冬鴎 放哉の句へ寄せて見る冬灯 遠ざかる大船観音冬ざるる 初冬や額に温み夕日受け 日を受けて暗さを残す冬の雲