KSネット俳句会

190回   
                                                               
                             
令和4年2月2日                  
        
                                        
                  
     アトリエ
雨だれの音を奏でて雨水かな
病癒え一足早く春うらら
雨水かな旧き映画を観て過ごす
紅梅の一枝挿して夕餉かな
八十路過ぐ我に春告げ鳥の声
     自由雲
寒しじみ断筆賀状また一つ
新年の歌会始厳かに
オミクロンこれで打ち止め年新た
鬼やらひコロナ出て行け地球より
春めくや相模の美酒の蔵めぐる      アトリエ
雨だれの音を奏でて雨水かな
病癒え一足先に春うらら
紅梅の一枝挿して夕餉かな
雨水かな旧き映画を観て過ごす
八十路過ぐ我に春告げ鳥の声
     藤遊子
陽だまりをふくら雀の分け合うて
松とれて空き家に重機猛々し
笹子来て何が不満か舌打ちし
冬晴や正午の汽笛氷川丸
群れ雀風に押されて雪の朝
     しかの
笹子鳴く仏間は今も畳の間
臘梅や積木のやうに家のたち
覚えなき実生の庭木鳥の恋
ご利益のうするるほどに着ぶくれて
日脚伸ぶ宮居の空を白き鳩      三葉子
春近しちかしと君のつぶやける
日めくりを捲る指さき雨水かな
老ふたり旧正月の海を見に
菜の花が咲いたよスマホを見て眠る
何ものかさがし続けて浜辺春      うーろん
北条のかつて山城梅ひらく
事もなく明けて庭木に笹子鳴く
麦を踏む息子の帰り待ちわびて
草餅の餡たつぷりと日脚伸ぶ
おねだりす老舗の前で冬の猿      かつら
初雪やマスクしてゐる庭の木々
笹鳴きの細小(いささ)小竹(をざさ)に停まらず
春耕や鍬の柄に染む父の痕
水温むドル札洗ふ異邦人
バス停へ近道ぬかる雨水かな