KSネット俳句会

191回   
                                                               
                             
令和4年3月2日                  
        
                                        
                  
     えぼし
電線に動かぬ鴉春寒し
老女来て何を祈るか涅槃寺
リハビリに歩く川筋日脚伸ぶ
西行忌大磯宿に海の市
産土の風は優しく石鹸玉      かつら
銀座早やショーウィンドーに春来る
春めくや夫婦で廻るめをと池
登下校子らの見守り良寛忌
芭蕉庵跡を訪ねて浅蜊飯
三色の菫ぞ装ふ花時計      アトリエ
遠き日の声の聴こえゆる古雛
違はずに約束守り新芽伸び
春めきてさまざまな声ひびき合ひ
花冷えやワクチンの腕痛みをり
ものの芽の動きを止める戦あり
     しかの
早春はどこかあやふしまた楽し
山際は荒びやすくて古巣かな
猫柳午後よりあらぶ湖の波
閉店の窓を叩きて春一番
牡丹の芽遠き戦のこと思ふ      うーろん
愚痴などの話はあとで春炬燵
網引けば神秘の光ほたるいか
出不精で特になけれど西行忌
雀の子少し飛んではまた少し
一つひとつ絵付け愛らし陶雛      三葉子
「智恵子抄」背中に春の日の回り
ロシアへ拳集めて春疾風
老包み天と地晴れて春は良し
眠れよと闇暖かく包み来る
歳時記のくくる頁も春めきて