KSネット俳句会

192回   
                                                               
                             
令和4年4月6日                  
        
                                        
                  
     うーろん
目借時夕べのままの箸と皿
貧富の差あれども食むは桜餅
小箱よりダイヤグラムや四月晴
じゃれおうて犬飛び跳ねる春爛漫
聞き流すほかなきニュース花の冷え      アトリエ
柴木蓮見る間に開き倍になり
石楠花のうすくれなゐに晴々と
花冷えや衣一枚はおりけり
春めくも戦闘機飛ぶニュースあり
たがはずに鶯鳴ける父母忌日      藤遊子
目借時当りの気配なき釣り師
菜の花や眼下に白き釣りの船
新緑の樹海砲音響きをり
カタクリの花へカメラと跪き
五感まだ覚めきらぬうち春の暮
     かつら
二年振り里の棚田に摘む蓬
老眼鏡かへてスッキリ目借時
花冷えや格天井の槍の疵
桜咲く訛なつかし里の駅
黄砂降る近くて遠きとなり国
     しかの
灯ともして本堂小さき花の雨
経蔵に明りのなくて竹の秋
長生きはどこか淋しくしゃぼん玉
鰺フライ食うて小坪の青き踏む
水甕に何か羽化する陽炎へる      自由雲
森の奥春告げ鳥が鳴き始め
弥生まで一日をのこし汀子逝く
上着一枚脱いで青きを踏みゆけり
戦禍逃れ来し人のゐる目借時
久々に娘(こ)に会ふ京都あたたかし      えぼし
卒業の孫の所望は回る寿司
ぶらんこに学童の子等笑ひ合ひ
ドローンになつてベランダからさくら
頼朝の故事の橋桁花筏
摘草の吾子のハミング遠ざかり