KSネット俳句会

194回   
                                                               
                             
令和4年6月1日                  
        
                                        
                  
     かつら
梅雨寒や町報で知る隣の訃
最終便車窓に仰ぐ夏の月
左みぎ左と潜る茅の輪かな
黒南風やテレビで戦(いくさ)観てをりぬ
鎌倉の七切通し花うつぎ      えぼし
白南風や南湖に霞む左富士
夏帽子港の見える丘の上
羅や小町通りは賑はひぬ
辛口のワインがよろし鱧の皮
マンションに渡せる紐に鯉幟      アトリエ
五月雨やブルーシートの崖があり
梅雨最中見えかくれなる蒼い空
青柿をテーブルに置き絵一枚
雨上がりひと際野花美しき
老木の花の咲きたる幹の先      藤遊子
夏兆す岬に古き釣りの宿
黒南風や浜辺に朽ちし漁網かな
友逝きて酒湿りたる溽暑かな
初成りを丸齧りするトマトかな
野良猫の湧きたるごとく夏漁港
     しかの
黒南風や流木咥へ犬走る
跡継ぎの決まりし寺の花樗
大方の訃は人づてに蚊食鳥
普段着の和尚の若し鉢目高
葉桜の瘤を撫づれば団子虫      三葉子
せせらぎと呟き六月の川渡る
五月闇灯を点さんと手を伸ばす
2ミリほどの白き虫飛ぶ夕灯
青梅踏むな杖を頼りに歩を外す
街角に古の句碑夏の風
     うーろん
時差ぼけも老ぼけもあり六月尽
百合の花世に出たがりの女かな
手の甲の皺眺めゐる夏の月
夏燕行きつ戻りつ瀬戸の浜
刈り込みを一休みして竹婦人