KSネット俳句会

196回　　　
                                                              　                             　　　　　　　令和4年8月3日  　　　　　　　　　　　　　　　 
　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　藤遊子 わづかなる日陰頼りにバスを待ち 遠き日の子等のこゑする浮いてこい 二日酔い右脳にいつか海月住み 緑陰に伏せれば風と鳥の声 船虫や波打つたびの負け戦 　　　　　うーろん 向日葵は此処の番人朽つる家 これしきの段に躓く秋初月 夏土用昨日と同じ人に会ふ ピィと鳴く浮人形はアヒルの子 シャワー浴ぶ浮人形は寂しかり 　　　　　えぼし 手に握る硬貨汗ばむ夜店かな この道と心定めむ朝の虹 三年ぶり子らの帰省や夏燕 孫つれて娘の帰省蒲団干す 浮人形残して孫の帰りけり 　　　　　アトリエ 戻り梅雨戻りコロナに惑はされ 朝毎に朝顔愛でむ母偲び 生い茂る庭の草木よ戻り梅雨 蝉しぐれ修行めきたる老いの日々 けふもまた寝てばかりなり蝉の鳴く
       
　　　　　しかの 文字太く短き便り青山椒 金接ぎの皿に盛りたる鱧料理 就中南部風鈴深廂 早よ寝よと蠅虎がパソコンに だんだんに母のかたちの箒草 　　　　　三葉子 帚草そのなかにある少年期 戻り梅雨沈殿物の如く臥す 雀らよ光横ぎり葉桜へ 老木の万の葉の揺れ我裸身 孫が来る夏の光のなかを来る