KSネット俳句会

209回　　　
                                                              　                             　　　　　　　令和5年10月4日  　　　　　　　　　　　　　　　 
　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　藤遊子 定量を呑みてそれから夜長し 風に乗りかすかにサザン秋の浜 ゴーヤ蔓一気に引きて仕舞けり 落ち栗の威嚇するごといがの立ち 秋鰺や冷から燗にする夕餉 　　　　　かつら 身に入むや蔵のみ残る生家跡 他人（ひと）貰ふチラシ気になる敬老日 梨厚く林檎は薄く剥けと婆 産土の土の匂ひや衣被 遠筑波故郷（さと）の名物栗尽くし
       
　　　　　しかの 曼珠沙華燃えて炎となる杏子亡し 夕芒弥陀にかすかな金の箔 二人居てふたりの遠し夜の長し ただ今といふ人のゐて衣被 水落つるところか秋の黒揚羽 　　　　　自由雲 空蝉にきらりと光る命かな 長生きの秘訣はなんぞ鰯雲 燗をして己をいやす夜長かな 金木犀小さき黄色の実をつけて 我が庭の酢橘ことしもたわわなり