KSネット俳句会

211回   
                                                               
                                    
令和5年12月13日                  
        
                                        
                  
     うーろん
惚けゆく人を照らして師走の灯
帰り花元気をもらふ石蕗の花
思ひ出はなべて楽しや冬ぬくし
母も娘(こ)も呆けし家系帰り花
遺伝てふ惚けもあるらし帰り花      自由雲
木枯しや今夜も楽し「ブラタモリ」
今年の蚊季節外れに暴れだし
 気候変動のあり
この秋や知らぬ地名の米どころ
元気脳生きる工夫や去年今年
おでん種じやこてんがんも冬ぬくし      かつら
冬落暉里を素通るツアーバス
温めて消えし煮凝り惜しむかな
大根干す白カーテンや海の紺
早や冬芽目覚めの気配冬温し
堆肥よりのぼる白煙今朝の冬
     藤遊子
煮凝りや鯛の目玉に箸を止め
打ち捨てし鉢に思はぬ帰り花
港江に鰡の跳ねたる音の冴え
柚子の香を添へて遅めの夕餉かな
寂び寂びと月光浴びし枇杷の花
        しかの
万両を見ていてつばき木瓜の実も
土竜塚踏んでふわふわ小六月
室咲の花にカーテン開けやりぬ
尼老いて花柊のこぼれつぐ
煮凝りや人に禍福のこもごもと       えぼし
行合の空を見上げてゐるベッド
煮凝りや時代遅れの頑固者
公園に園児等の声帰り花
空き家には一輪見えし帰り花
しばれるやいぶりがつこに杯重ね       三葉子
朝の日に冬薔薇一輪亡き父母へ
動く者老夫婦のみ師走墓所
冬の川動かぬ鷺の白きこと
猫連れて散歩の人会ふ山に雪
家の裏石蕗一茎光りをり