KSネット俳句会

205回   
                                                               
                                    
令和5年5月6日                  
        
                                        
                  
     藤遊子
抜け道の谷戸の湿りや著我の咲く
自撮りする若き二人や緑さす
行く末の不安葉桜夜に戦(そよ)ぐ
母の日や子からのライン軽やかに
通学路子等は足早栗の花      うーろん
鯉幟待つてましたと泳ぎだす
鯉のぼり雨に打たれて一休み
五月雨風に揺れる葉に音ありき
風に舞ふ緑の葉に心晴れ
皐月雲流るる蒼に舞ふ鳩よ      自由雲
山笑ふ吾子跳びはぬる二階屋根
緑なす植田飛び交ふ羽音かな
栗の花咲いて縄文遺跡かな
風光る能登に大きな地震来る
昼間から一杯飲める鯉のぼり      アトリエ
日暮れ時緑陰描く画布の前
日々ごとに衣取り替ふ青葉冷
山藤を探して迷ふ周り道
初ガツオ横目で眺め通り過ぎ
さまざまなみどり織り生す庭の中
       
     しかの
釣り池のどこも動かず風みどり
竹秋の倒れかけたる竹二本
子は跳ねてはねて風船突きにけり
浅蜊の舌出てカタカタと夜の厨
改札はむかし木の枠若葉風      三葉子
山頂のみどり尖らせ日の移る
障子にも光溶かせて朧かな
明日五月口元に茶ゆつくらと
老の足五月の坂をゆつくりと
静かさや卯の花腐し黒き傘      えぼし
初蝶や同窓会の案内状
道草を覚えし子等や緑さす
青天へ大口開けて鯉幟
信濃なる小布施の寺に栗の花
足先の白さ弾けて磯遊び      かつら
葉桜の下や話の輪の開く
栗咲く香浜街道を故郷へ
芳潤な山気ぞ満つる緑夜かな
昭和の日軍港見ゆるカレー店
花は葉に子は異国へと発ちにけり