KSネット俳句会

208回   
                                                               
                                    
令和5年9月6日                  
        
                                        
                  
    うーろん
風呂敷に秋の実り入れ里の暮
野分来る今日の日を終へ鎌を置く
一人身の増えて町中秋燕
歌舞伎座に老いの笑顔や秋日和
朝霧に秋の訪れ感じつつ      藤遊子
舳先には船頭ひとり雲の峰
縄梯子掛けたくもなる雲の峰
取り込みし布団の熱さ酷暑忌む
待ち合はせ場所を違へて酷暑かな
戯れに子が上り下り大南瓜      かつら
土手南瓜三年ぶりに訪ふ生家
恙なきひと日に感謝秋没日
決めかねしことをきめよと法師蝉
弁当を犬と分け合ふ生身魂
ほどほどをよしとすべきや萩の花      三葉子
舞おりる蝶秋風の貌になり
返信をせねばならぬに秋暑し
地図を見る野分の兆し背に受けて
頼もしさ顎ひげだけのような秋
秋風ややらねばならぬを傍におき
       
     しかの
稲光からだ二つに切る手品
音ほどに噴かぬ噴水秋暑し
野分立つ葦原うねりつつ夜へ
旧宮邸薔薇土用芽の盛んなり
日に灼けて褐色人もぎしぎしも      えぼし
サルビアの燃へて迎ふる退院日
病棟の窓に丹沢山みどり
コスモスの花一輪に差す朝日
包丁を夫が構へて割る南瓜
硝子戸を揺らして夜の野分かな