KSネット俳句会

213回   
                                                               
                                    
令和6年2月7日                  
        
                                        
                  
     えぼし
寒の明妻のめまひに俄か主夫
行き行きて泥に紛れし蜷の道
国道の下り動かぬ春の雪
大島を望みつ白子干してをり
外は雨うつらうつらと春炬燵      うーろん
七十代酸いも甘いもデカいちご
返信の来るはずもなき遅き春
束の間の雪降る午後はホットココア
北窓開けても帰らぬ失せしもの
バス降りてありがとの声浅き春      自由雲
蕗のたう頭をそつと撫でてやり
北窓を開き深山に一礼す
奥能登に地震あばれたり大旦
能登アワビ今年は不漁寒の地震
年初め目出度くもなし辰の年      かつら
仕事始めクレーン首を振り始む
歩くとは見えで伸び行く蜷の道
大?小いたち橋も春柳
母おはす部屋は小声で鬼やらひ
遠筑波沼底うなふ蜆舟
        しかの
春ショール慕ふこころを隠しおく
京ことば油のやうとは春寒し
老いてなほ母待つこころ春を待つ
花八つ手開け閉て軋む農具小屋
竹騒ぐ音のしばらく霙来る       藤遊子
モノレール音の軽やか寒の明け
吉田邸人待ち顔の冬薔薇
のの文字を草書で書きて蜷の道
釣れし魚波間に透きて寒明くる
居酒屋の鰤のメニューに星印       三葉子
煌めきを鳥かすめ飛ぶ川二月
雪解けや朝日に頬をさらし行く
二月夕喪章外して歩をはやめ
バスを待つ二月の日差し傾きぬ
義父の庭継ぐ水仙の増え続け