KSネット俳句会

217回　　　
                                                              　                        令和6年6月5日       　 
　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　                       　 　　　
　　　　　アトリエ 青い空白い帆浮かぶ青い海 紫陽花を花瓶に活けて梅雨楽し 紫陽花の咲いて人呼ぶ山の裾 上着脱ぎ歩き続ける薄暑かな ヘリコプター真上に響く青嵐 　　　　　三葉子 富士は良し生まれ月良し六月よ 爪切つて薄暑の庭を横切りぬ 葉桜の夕闇ふかし段葛 人を待つことの楽しさ青葉風 青嵐ライン通じて孫の声 　　　　　かつら 祖父と父吾も端居の柱かな 江ノ電の線路の向かう夏暖簾 ででむしをお貸ししますと紫陽花園 タンポポの綿毛一点より崩れ 麦秋や井戸塀残る生家跡 　　　　　藤遊子 起き抜けにまづ覗きたる金魚鉢 青嵐釣りする男岩を跳び 縁側に蜥蜴の眠る薄暑かな ステテコの響きにふつと父の影 缶からの甲高き音青嵐
   　　　　　しかの 白塗りの民家にクルス燕来る 殉教の島をかこみて茅花とぶ いま置きしやうに眼鏡が青葉光 人はみな吾の師と思へ椎の花 河鹿鳴く瀬音の底のカフェテラス  　　　　　えぼし 自転車に息の乱るる薄暑かな 青嵐名門校へ笑ふ孫 紫陽花や道草覚ゆ一年生 久しぶり頂き覗く五月富士 母の日やゴディバの店に人の列  　　　　　うーろん 意識して背筋を伸ばす青葉風 小田急の乗り降り多し薄暑かな まう六月世の変転を追ひもせず そら豆の鞘のまま焼くおやつかな パスワード入れる手を止め青嵐